巨大ショッピングセンター内のテナントに計画されるステーショナリーショップ。子供向けの工作イベントも催されるため、什器は合板の小口を現したラフな作りとし、手作り感と暖かさを出している。容積の大半を閉める上部空間には広大な面積を維持するための多くの設備配管が天井を縦横に走り回る。とはいえ、配管の通らない箇所は変わらずヴォイドである。そこで3段階の高さを設定して設備を囲うようにアルミのフレームで立体を作ってみる。中央は最大限に高くして開放感のある吹き抜けを作り、周辺部やイベントコーナーは低く抑えて親密な雰囲気になるよう意図的に調整を加える。すると、あたかも中空に浮かぶロフトのように見えてくる。

ユヴァル・ノア・ハラリによると、我々の社会構造を成立さしめているのは虚構を信じることができる集団心理にあるという。いわんや建築のデザインにおいて、私はおそらく虚構を信じているし、それによって空間(この単語自体が虚構性を帯びている)が成立すると考えている。であれば意図的に虚構の建築を作っても良いだろう。天井フレームのスケール感が作り出す虚構により生み出される、これはイマジナリーな機能を持った建築となる。

住所:北京市

面積:83.1㎡

機能:物販店舗

竣工:2019年7月