モノが埋まった状態というのは、例えば、崖に掘り込まれた石窟であったり、溶岩に閉じ込められた何億年も昔の化石であったりする。これは「モノと背景が一体化した状態」と言える。これを商品陳列に応用すれば、商品と空間が一体化した展示方法へと昇華できると考えた。
動く壁面のヒントは引出しだ。微小な引出しが大量に積み上げられれば、押したり引いたり、壁面を自由に操作できるはずだ。コスト、工期、重量を考慮し、今回は40mm角の紙管の引出しを使う事にした。
使い方は自由だ。立体を強調する「浮彫」、平面を強調する「象嵌」、あるいは発する光を強調する「浸食」。小さな正方形で形成されたデジタル (DIGIT-al)な壁面を、自由に掘り込む(Dig It)。この空間を訪れる人の数だけ、この壁に触れる手の数だけ、DIGITは展示の可能性を押し広げて行く。 

コンペティション第一等 

クライアント:DIESEL Japan
住所:東京都渋谷区
用途:ストアインスタレーション
面積:45㎡
キュレーション:高橋正明
撮影:牛尾乾太
施工:巧建社
紙管:日本化工機材
竣工:2012年8月