北京市東直門のデパート内にある、アップルコンピューターの販売代理店。デパートの建築自体は不定形でダイナミックな現代建築となっており、店舗周辺が、 斜め柱や三角形のガラス割付、いびつなシャッターレールなど「具象的」で「複雑」なものに囲まれている。この状況下でアップルコンピューターの「シンプル な抽象性」を如何にして獲得するかが問題であった。
まず周囲の複雑な環境を和らげるために白いアルミルーバーを設置し、 その片側側面にのみカラー焼付け塗装を施す。約360本あるルーバーは12種類に色分けされ、店舗全体にグラデーションがかかるようになっている。天井に はスモーク仕上げのアクリル棒を設置し天井内部より発光させ、天井シャッターを隠す。
入口側から見ると店のテーマカラーでもある青から赤へのグラデーションが店舗奥まで人を引き込み、反対側から見ると白く抽象的な空間が見える。さらに既存の複雑な斜め柱と三角窓がルーバーと干渉し合い、場所によって不思議な濃淡を作り出す。
立つ位置 、見る方向、 時間によって、この空間は多様な表情を見せる。シンプルで抽象的なワンルームでありながら、さまざまなシーンからこの空間は形成されている。 

プロジェクト名:iSpace 北京ラッフルズ
住所:中国 北京市
施工:北京標徳装飾有限責任公司
撮影:広松美佐江 (北京鋭景撮影)
用途:店舗
面積:100平米
竣工:2012年8月